Web Syllabus(講義概要)
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哲学の楽しみB(エコロジー思想を哲学する)
英文名 Philosophy B
科目概要 2026年度 後期/2単位
授業対象 指定なし 火1or火2
科目責任者 川本 隆
担当者 川本 隆
備考 科目ナンバリング:L101-HC02/授業形態:講義

授業の目的

エコロジーと聞くと「環境にやさしい」というイメージで語ることが多いのではないでしょうか。温暖化をはじめとする地球環境問題が待ったなしの課題といわれる中、私たちはこの問題をどこまで自分事として考えているでしょうか。一口にエコロジー思想といっても様々な立場があります。本講義では、それらの代表的な思想を学びつつ、私たちの日常を今一度とらえなおすことを目的とします。環境問題に対する具体的な取り組みも大事ですが、その背景となる考え方や私たち自身の生活の指針となる種々のエコロジー思想を哲学的に再検討し、問題解決のための道筋・方法について皆さんとともに考えていきたいと思います。

教育内容

まず導入として、具体的な環境問題の事例を取り上げますが、その問題を解決するための処方箋(政策・取り組み)を即座に考えるのではなく、解決を導くためのおおもとの考え方(発想や枠組み)を問題とします。その考察を通じて、環境問題について、知っているようで実は知らないことが多いと気づくところから、新たな取り組みの地平が切り開かれます。また、具体的なことを求めるあまり水掛け論に終わらないように注意しましょう。本質的な議論が何かを見定めながら、どうしたら実質的に有効な打開策を導けるか、などの手堅い考察をめざします。

教育方法

【この授業は全て対面で実施します】
講義では、教科書は使用せず、必要に応じてプリントを配布します。主にパワーポイントを用い、AV機器を利用します。講義後にコメント課題(授業日翌日締切)が出ますので、授業内容に関して自分の意見を形にしてください。一方向的な講義にならないよう、次の授業で内容の確認を行います(場合によっては質問を皆さんに投げかけます)。理解度の確認については、定期的にチェックテスト(小テスト)を行います。
【フィードバックの⽅法】
提出されたコメントに対し、次の講義で講評・質疑を⾏います。

準備学修(予習・復習)

【講義時間外に必要な学習の時間:60時間】
予習:下記に挙げた参考書を読んでおく。また、その他の哲学の本(適宜、紹介します)を読んで、講義に関連する箇所を参照する。
復習:ノートや配布資料を参考に、その日のテーマについて再度自分で思考をめぐらし、自分の考えをまとめておく。

授業内容(シラバス)

担当者 項目 内容
1 川本 隆
ガイダンス
講義目標、講義内容、講義方法、評価方法などについて説明します。
2 川本 隆
レイチェル・カーソンと生態学 60年以上も前に発せられたカーソンの警告がなぜきちんと受け止められなかったのか、その謎に迫ります。
3 川本 隆
ディープ・エコロジー1:その基本的立場
自然に目を向けましょう。「自分が変われば世界も変わる」というモットーから、身近な実践の大切さを学びます。
4 川本 隆
ディープ・エコロジー2:アルネ・ネスのエコソフィー
1982年のインタビューから、ネスがどのような発想からこの思想を説くようになっていったのかを見ていきます。
5 川本 隆
ディープ・エコロジー3:プラットフォーム原則 ネスの立場をそのままディープ・エコロジー運動につなげるわけにはいかない事情を「エプロン・ダイアグラム」の思想を参照しながら、読み解きます。
6 川本 隆
生命中心主義と生命圏平等主義:シンガーとネス 動物解放論を唱えたシンガーもネスも、大枠では生命中心主義にまとめられますが、微妙に異なる点があります。その違いから何を学べるかを考えます。
7 川本 隆
ディープ・エコロジー4:エコロジカルな自己とは
ネスが発想として微小な生き物への共感を「自己同一化」として表しますが、なぜそれが大事なのかについて、カーソンと合わせて考えます。
8 川本 隆
ディープ・エコロジー5:拡大自己実現論
ネスの拡大自己実現論を説く背景に、エーリヒ・フロムとスピノザの哲学があります。日本語訳ではわかりにくいディテールを原文の英語を交えながらわかりやすく解説します。
9 川本 隆
ソーシャル・エコロジー1:ブクチンの着想
ブクチンの主著『エコロジーと社会』の導入部に出てくる、ラディカル・エコロジストの問題点を確認し、社会的視点の重要性を考えます。
10 川本 隆
ソーシャル・エコロジー2:ブクチンのディープ・エコロジー批判
社会的な視点を導入しながらディープ・エコロジーを批判するブクチンの論は、一見説得的にみえるものの、落とし穴があります。些末な議論に惑わされない分析の目を養います。
11 川本 隆
ソーシャル・エコロジー3:ブクチンとルソー
ブクチンのソーシャル・エコロジーの視点の背景に、ルソーの『人間不平等起源論』理解があります。現代にどう生かすのかを考えてゆきます。
12 川本 隆
レスター・ブラウンの環境思想1:プランB
ブラウンは哲学者というより環境学者です。その問題提起は具体的でわかりやすいですが、どこか水漏れはないでしょうか。彼の思想ですべて良しとは言えない点を考えてゆきます。
13 川本 隆
レスター・ブラウンの環境思想2:ブラウン思想の問題点 ブラウン思想の問題点を、ディープ・エコロジーやソーシャル・エコロジーの視点から見直します。
14 川本 隆
SDGsと環境思想 今日のSDGsの考え方が学んできた環境思想とどのようにリンクしているかを検討します。
15 川本 隆
まとめ
これまでの講義の総括をします。
No. 1
担当者
川本 隆
項目
ガイダンス
内容
講義目標、講義内容、講義方法、評価方法などについて説明します。
No. 2
担当者
川本 隆
項目
レイチェル・カーソンと生態学
内容
60年以上も前に発せられたカーソンの警告がなぜきちんと受け止められなかったのか、その謎に迫ります。
No. 3
担当者
川本 隆
項目
ディープ・エコロジー1:その基本的立場
内容
自然に目を向けましょう。「自分が変われば世界も変わる」というモットーから、身近な実践の大切さを学びます。
No. 4
担当者
川本 隆
項目
ディープ・エコロジー2:アルネ・ネスのエコソフィー
内容
1982年のインタビューから、ネスがどのような発想からこの思想を説くようになっていったのかを見ていきます。
No. 5
担当者
川本 隆
項目
ディープ・エコロジー3:プラットフォーム原則
内容
ネスの立場をそのままディープ・エコロジー運動につなげるわけにはいかない事情を「エプロン・ダイアグラム」の思想を参照しながら、読み解きます。
No. 6
担当者
川本 隆
項目
生命中心主義と生命圏平等主義:シンガーとネス
内容
動物解放論を唱えたシンガーもネスも、大枠では生命中心主義にまとめられますが、微妙に異なる点があります。その違いから何を学べるかを考えます。
No. 7
担当者
川本 隆
項目
ディープ・エコロジー4:エコロジカルな自己とは
内容
ネスが発想として微小な生き物への共感を「自己同一化」として表しますが、なぜそれが大事なのかについて、カーソンと合わせて考えます。
No. 8
担当者
川本 隆
項目
ディープ・エコロジー5:拡大自己実現論
内容
ネスの拡大自己実現論を説く背景に、エーリヒ・フロムとスピノザの哲学があります。日本語訳ではわかりにくいディテールを原文の英語を交えながらわかりやすく解説します。
No. 9
担当者
川本 隆
項目
ソーシャル・エコロジー1:ブクチンの着想
内容
ブクチンの主著『エコロジーと社会』の導入部に出てくる、ラディカル・エコロジストの問題点を確認し、社会的視点の重要性を考えます。
No. 10
担当者
川本 隆
項目
ソーシャル・エコロジー2:ブクチンのディープ・エコロジー批判
内容
社会的な視点を導入しながらディープ・エコロジーを批判するブクチンの論は、一見説得的にみえるものの、落とし穴があります。些末な議論に惑わされない分析の目を養います。
No. 11
担当者
川本 隆
項目
ソーシャル・エコロジー3:ブクチンとルソー
内容
ブクチンのソーシャル・エコロジーの視点の背景に、ルソーの『人間不平等起源論』理解があります。現代にどう生かすのかを考えてゆきます。
No. 12
担当者
川本 隆
項目
レスター・ブラウンの環境思想1:プランB
内容
ブラウンは哲学者というより環境学者です。その問題提起は具体的でわかりやすいですが、どこか水漏れはないでしょうか。彼の思想ですべて良しとは言えない点を考えてゆきます。
No. 13
担当者
川本 隆
項目
レスター・ブラウンの環境思想2:ブラウン思想の問題点
内容
ブラウン思想の問題点を、ディープ・エコロジーやソーシャル・エコロジーの視点から見直します。
No. 14
担当者
川本 隆
項目
SDGsと環境思想
内容
今日のSDGsの考え方が学んできた環境思想とどのようにリンクしているかを検討します。
No. 15
担当者
川本 隆
項目
まとめ
内容
これまでの講義の総括をします。

到達目標

環境問題に関する基礎的な議論において生じている対立を理解することができる。
他者の声に謙虚に耳を傾け多元的な思考ができる。
環境問題を解決する方法について考えるための補助線を得ることができる。
他者と自分の立場の相違をわきまえて、自分の意見を整理して相手に伝え、他者と生産的な議論ができる。

成績評価の方法と基準

試験方法:ペーパー試験(前半選択問題+後半論述問題)。 実施時期:最終授業時間の60分間。
コメント課題(20%)、チェックテスト(20%)、期末試験(60%)。
全体の3分の2以上の出席者を成績評価の対象とします。

学生へのメッセージ(その他注意等)

積極的に講義に参加することを希望します。疑問点などがある場合は、そのままにせず、コメントの形でもよいので積極的に質問してください。

教材

種別 書名 著者・編者 発行所 定価(円)
教科書 (なし)
参考書 新・環境倫理学のすすめ 加藤尚武 丸善 842円
参考書 環境と倫理〈新版〉 加藤尚武編 有斐閣 1,944円
参考書 沈黙の春 レイチェル・カーソン 新潮社 679円
参考書 ディープ・エコロジー 井上有一監訳 昭和堂 3,080円
教科書
書名
著者・編者
発行所
定価(円)
参考書
書名
新・環境倫理学のすすめ
著者・編者
加藤尚武
発行所
丸善
定価(円)
842円
参考書
書名
環境と倫理〈新版〉
著者・編者
加藤尚武編
発行所
有斐閣
定価(円)
1,944円
参考書
書名
沈黙の春
著者・編者
レイチェル・カーソン
発行所
新潮社
定価(円)
679円
参考書
書名
ディープ・エコロジー
著者・編者
井上有一監訳
発行所
昭和堂
定価(円)
3,080円