英文名 | Liberal Arts and Sciences Seminar C | |
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科目概要 | 2025年度 後期/1単位 | |
授業対象 | 指定なし(M学部,ET学科,PT専攻,ST専攻,OV専攻,FR学部を除く) 火5/ [自由]M学部 火5/ [自由]ET学科 火5/ [自由]PT専攻 火5/ [自由]ST専攻 火5/ [自由]OV専攻 火5/ [自由]FR学部 火5 | |
科目責任者 | 田中 伸明 | |
担当者 | 田中 伸明 | |
備考 | 科目ナンバリング:L102-ME03/授業形態:演習 |
音、あるいは音楽は、世界各地でさまざまな方法で記録されてきました。今日私たちが「楽譜」という言葉でイメージするものは、西洋で誕生した記録法の一つに過ぎません。これまで音・音楽は、どのように記録されてきたのでしょうか。そして、どのような過程を経て、私たちに理解可能な「楽譜」になるのでしょうか。
この演習授業は、大きく3つの部分に分かれます。最初の5回では、世界各地のさまざまな記譜法について調査・発表し、世界の文化的多様性について知識と理解を深めます。次の5回では、西洋の記譜法に注目し、現代の記譜法が確立されるまでの歴史的な紆余曲折を、実際に音楽をいろいろ聞きながら追体験していきます。いわゆる「クラシック」と一括りにされる音楽でも、時代・地域ごとに大きな差があることがわかるでしょう。最後の5回では、図書館に眠っているような歴史的史料を実際に楽譜にしていくまでの過程を紹介し、人文学が蓄積してきた知的営みの一端を覗いてもらいたいと思います。
①世界の文化的多様性を、記譜法・楽譜を軸として伝える。
②特に西洋の記譜法について、現在のものが確立されるまでの歴史・経緯を、音楽的な具体例とともに伝える。
③指定された題材に対するレジュメ作成と口頭報告の実践をさせる。
この授業は「対面」で行う。受講学生に質問を投げかけ、積極的に発言を促していく。Google Classroomを通じた口頭報告用レジュメ提出(計3回)。
【フィードバックの方法】
口頭報告に対する授業内でのコメント。その他オフィスアワーを通じた学習サポート(提出課題の準備や期末レポート作成のためのアドヴァイス)。
【授業時間外に必要な学習の時間:15時間】
予習:次回授業内容の確認
復習:取り扱われた内容の確認・復習
その他:口頭報告のためのレジュメの準備と提出
回 | 担当者 | 項目 | 内容 |
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1 | 田中 伸明 | オリエンテーション | 参加者との懇談・自己紹介; 授業内容の説明 「世界のさまざまな楽譜①-④」担当者の決定 |
2 | 田中 伸明 | 世界のさまざまな楽譜①(アジア・アフリカ地域) | アジア・アフリカ地域の記譜法に関する口頭報告・教員による補足 |
3 | 田中 伸明 | 世界のさまざまな楽譜②(アジア・アフリカ地域) | アジア・アフリカ地域の記譜法に関する口頭報告・教員による補足 |
4 | 田中 伸明 | 世界のさまざまな楽譜③(ヨーロッパ・アメリカ地域) | ヨーロッパ・アメリカ地域の記譜法に関する口頭報告・教員による補足 |
5 | 田中 伸明 | 世界のさまざまな楽譜④(ヨーロッパ・アメリカ地域) | ヨーロッパ・アメリカ地域の記譜法に関する口頭報告・教員による補足 |
6 | 田中 伸明 | 西洋における記譜法・概説 | ネウマ譜から五線譜まで––発展の概要 「西洋における記譜法①-④」担当者の決定 |
7 | 田中 伸明 | 西洋における記譜法① | 古ネウマ・四角譜の時代・口頭報告と教員による補足 |
8 | 田中 伸明 | 西洋における記譜法② | 計量記譜の時代(1)・口頭報告と教員による補足 |
9 | 田中 伸明 | 西洋における記譜法③ | 計量記譜の時代(2)・口頭報告と教員による補足 |
10 | 田中 伸明 | 西洋における記譜法④ | 17世紀の記譜と現代の比較・口頭報告と教員による補足・「楽譜の校訂①-④」担当者の決定 |
11 | 田中 伸明 | 楽譜の校訂① | 文献学とは何か・口頭報告と教員による補足 |
12 | 田中 伸明 | 楽譜の校訂② | 「原典」とは?「正しい」楽譜とは?口頭報告と教員による補足 |
13 | 田中 伸明 | 楽譜の校訂③ | 史料が語ること・語らないこと(1)・口頭報告と教員による補足 |
14 | 田中 伸明 | 楽譜の校訂④ | 史料が語ること・語らないこと(2) ・口頭報告と教員による補足 |
15 | 田中 伸明 | まとめ | 学習内容の振り返り |
記譜法というツールを通じ、世界にさまざまな(音楽)文化が存在していることを知る。今日の「楽譜」が誕生するまでには長い歴史の蓄積があり、それぞれの時代の音楽を記録し表現するのに最も適した形を探って進化を続けてきたことを知る。現在の一般的感覚では読めない楽譜について、現代の楽譜に変換・再現する方法が存在していることを知ることで、人文学がこれまで重ねてきた学問的蓄積を理解する。
・口頭発表のためのレジュメ提出と発表(25%×3)
・期末レポート 25%(3000字程度・内容については担当教員と個別に面談の上で決定する)
*全体の2/3以上に出席が認められない限り、単位認定を行わない。授業滞在時間が75分に満たなかった者は遅刻・早退の扱いとし、これを3回重ねた場合1回欠席したものとみなす。
授業では、楽譜を中心的な題材として扱うことになります。楽譜が正確に読めなくても問題はありませんが(楽譜がスムーズに読めることを前提とした授業はしません)、音楽や世界史に興味のない学生は履修に向かないでしょう。また、授業はあえて「西洋かぶれ」なやり方で実施します。授業中の講師側からの問いかけに対し、みなさんの積極的な発言を求めていく、ということです。欧米圏の大学では、発言をせず黙っているだけでは授業に参加しているとは見做されません。今後みなさんが欧米圏へ留学・研究滞在する機会の準備になってほしいという思いで、講師もドイツ滞在中に参加し大きく成長できた、「本場のゼミナール」をこの授業を通じて体験してほしいと思います。ただし、発言が苦手だから、大勢の前での質問は恥ずかしいと思ってしまうから、といった理由で履修を見送ることはしないでください。発言や質問は強制しませんし、講師側からアシストして発言してもらうなど、様々な工夫をおこなって皆さんの授業参加を促していきます。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 定価(円) |
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教科書 | 教科書は使用せず、適宜資料を配付する。 | 円 | ||
参考書 | 楽譜の校訂術 ―音楽における本文批判:その歴史・方法・実践 | ジェイムズ・グリーア(著) 高久 桂(訳) | 道和書院 | 4,180円 |