英文名 | Chemistry | |
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科目概要 | 2025年度 通年/4単位 | |
授業対象 | [必修]HS学科 水2 | |
科目責任者 | 能登 香 | |
担当者 | 能登 香※ | |
備考 | 科目ナンバリング:L101-GN03/授業形態:講義 |
自然現象は物質の性質と変化によって引き起こされる.身の回りの自然現象を化学的な観点から論じることができる知識を身につけ,2年次以降の専門課程に必要な化学的な考え方と基礎知識を修得することを目的とする.
予防医学を理解するために必要な化学的な考え方と基礎知識を中心に講義する.
物質の構造・性質・変化に関する基本的概念をミクロな観点から学び,その応用を解説する.
原子の構造,化学結合,化学反応,物質量,物質の状態,反応速度,化学平衡,溶液の濃度と性質,酸・塩基,有機化合物の構造と反応について講義及び演習を行う.
【この授業は全て対面で実施します】
講義形式はパワーポイントを中心に動画教材・板書を併用し,問題演習を行いながら講義を進める.講義内容や演習問題を記載したプリントを毎回配布し, Google Classroom にもアップロードする.
講義の冒頭で,前回講義内容を復習し,知識を定着させる.
前期〜後期の前半の講義は,教科書に沿って進め,発展的な内容等をプリントで補う形式で行う.
後期の後半で行う有機化学分野は,配布プリントを中心に講義する.
【フィードバックの方法】講義中に演習を行う.また,毎回配布するコメントカードに記載された質問内容について,次回講義内で解説する.
【授業時間外に必要な学習時間:120時間】
予習:講義前に,教科書の学習予定の章に目を通しておくこと.
復習:講義後には速やかに講義内容の復習をし,講義中に解説した演習問題の見直しや,宿題とした演習問題を解くこと.理解が不足している部分については,教科書の練習問題を解き,講義内容を理解すること.
回 | 担当者 | 項目 | 内容 |
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1 | 能登 香 | 暮らしと化学,化学実習の説明 | 科学と物質,科学の方法について説明する. 化学実習について説明する.予習方法,実験ノートの書き方,レポートの作成方法について解説する. |
2 | 能登 香 | 測定,物質とエネルギー | 単位や有効数字の取り扱い,物質の分類,物理変化と化学変化,エネルギーを説明し,比熱容量を使った計算の演習を行う. |
3 | 能登 香 | 元素と原子 | 周期表中の元素の分類,原子の構造とその構成粒子について説明する. 元素の同位体について説明し,その存在比と相対原子質量から原子量を求める計算演習を行う. |
4 | 能登 香 | 電子配置と周期性(1) | 原子の基底状態と励起状態を説明し,原子の内部構造を解説する.原子の電子配置に関する演習を行う. |
5 | 能登 香 | 電子配置と周期性(2) | 陽イオンと陰イオンを定義し,それらの電子配置について説明する.また,元素の性質とその周期性が,原子の電子配置と深く関わっていることを解説する. |
6 | 能登 香 | 無機化合物と有機化合物―名称と化学式 分子やイオンの形と引き合い(1) | 分子のルイス構造(点電子図)とオクテット則について説明する.イオン結合性化合物におけるイオン結合について解説する. |
7 | 能登 香 | 分子やイオンの形と引き合い(2) | 共有結合と共有結合性化合物について説明し,分子の点電子図及び構成原子の電気陰性度から,極性分子か非極性分子かを予測する演習を行う. |
8 | 能登 香 | 分子やイオンの形と引き合い(3) | 分子間に働く力の違いを解説し,新素材開発への応用例を紹介する.また,水素結合と水の特性の関係について考える. |
9 | 能登 香 | 量でみる化学反応(1) | 物質量(モル)と粒子数,質量,気体の体積との関係を説明する.化学反応における反応物と生成物の量に関する問題演習を行う. |
10 | 能登 香 | 量でみる化学反応(2) | 化学反応における収率・ 制限試薬を考慮し,反応の量的変化に関する演習を行う. |
11 | 能登 香 | 気体(1) | 理想気体を定義し,気体の法則(ボイルの法則,シャルルの法則,理想気体の法則)を解説する.これらの法則を使った問題演習を行い,理解を深める. |
12 | 能登 香 | 気体(2) | 気体の溶解度の法則,分圧の法則について解説し,問題演習を行う.また,実在気体と理想気体の違いについて説明する. |
13 | 能登 香 | 溶液(1) | 医療分野において必須の「濃度」について学習する.様々な濃度の単位を紹介するとともに,単位に注意して濃度計算ができるように演習を行う. |
14 | 能登 香 | 溶液(2) | コロイドの性質を説明し,電気泳動法などのコロイドの利用例を紹介する. |
15 | 能登 香 | まとめ | 前期学習内容のまとめ |
16 | 能登 香 | 溶液(3) | 溶液の束一的性質を説明し,沸点上昇,凝固点降下,浸透に関する問題演習を行う.人工透析の原理について紹介する. |
17 | 能登 香 | 反応エネルギーと反応速度 | 化学反応に伴うエネルギー変化について説明する. 化学反応の反応速度と,それに影響を与える因子について実例を挙げながら解説し,反応速度式,反応次数に関する演習を行う. |
18 | 能登 香 | 化学平衡 | 化学平衡,平衡定数について説明し,化学平衡を移動させる因子について考える. |
19 | 能登 香 | 酸と塩基 | 酸・塩基を定義し,水溶液のpHと酸・塩基の強さについて解説する.実習で行った中和滴定と関連づけて説明し,問題演習を行う. |
20 | 能登 香 | 緩衝液(1) | 体内のpHコントロールの原理である水溶液の緩衝作用について,実習で行ったpHの測定と緩衝作用と関連付けて説明する. |
21 | 能登 香 | 緩衝液(2) | 酸解離定数から緩衝溶液のpHを求める演習を行う. |
22 | 能登 香 | 酸化と還元 | 酸化と還元を定義し,酸化,還元に伴う電子の授受と酸化数の変化について説明する. |
23 | 能登 香 | 放射線の化学 | 放射性核種・崩壊系列・放射線量の単位の違い,放射壊変の際に放射される放射線や粒子について,医療分野における利用法を含めて解説する.放射壊変の核反応式,崩壊速度を表す半減期を解説し,残留放射線核種の量に関する演習を行う. |
24 | 能登 香 | 飽和炭化水素(1) | 有機化学の礎となる炭素原子の性質をふまえ,混成軌道について説明する. 有機化合物の構造式の表記法に関する演習を行う. |
25 | 能登 香 | 飽和炭化水素(2) | 有機化合物の構造異性体, IUPAC命名法について解説し,アルカンの命名に関する演習を行う.アルカンの立体配座と安定性の違いについて説明する. |
26 | 能登 香 | 不飽和炭化水素(1) | アルケンの二重結合,アルキンの三重結合について,混成軌道の概念を用いて説明する.シスートランス異性体,アルケンの付加反応のメカニズムを解説する. |
27 | 能登 香 | 不飽和炭化水素(2) | 不飽和炭化水素の共役とその安定性について説明し,芳香族炭化水素(ベンゼン)の安定性との違いについて解説する. |
28 | 能登 香 | 不飽和炭化水素(3) | 芳香族炭化水素の置換反応のメカニズムと,ベンゼン二置換体合成における配向性の違いについて解説する. |
29 | 能登 香 | 含酸素有機化合物 | アルコールの物理的性質と溶解性について説明し,アルコールの構造の違い(第1,2,3級)とその製法,反応の違いについて解説する. エナンチオマー(鏡像異性体)を説明し,それらを区別する演習を行う. |
30 | 能登 香 | まとめ | 後期学習内容のまとめ |
予防医学の基礎となる下記のような化学の知識を習得する.
①物質の構造と性質を原子や分子の構造や化学結合などと関連付けて説明できる.
②物質の名称,化学式,構造式などを正しく記述することができる.
③化学反応,化学平衡など物質に起こる変化を説明できる.
④物質量,溶液の濃度などの化学で用いられる単位を理解し,物質を定量的に扱うことができる.
⑤有機化合物の内の基本的なものについて,詳しく説明できる.
試験方法:筆記試験 実施時期:試験期間内
前期・後期の定期試験を主に,レポートも加味して評価する.
成績評価は「前期試験 40 %,後期試験 40 %,レポート 20 %」または「前期試験 50 %,後期試験 50 %」のいずれか良い方で 評価する.
私たちの生活は化学と密接に関わっています.化学の基礎知識を身につけることで,今までとは違った視点から身の回りの自然現象を理解することができるようになります.授業中に演習問題を行い,皆で解きながら理解を深めていきますので,ノート(ルーズリーフ)を必ず持ってきて下さい.講義後には速やかに復習をし,疑問点を確認しながら学習することが大切です.
原油精製副産物を利用した素材開発研究の経験を踏まえ,原油精製から得られる様々な有機化合物の基礎知識とその応用について概説する.
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 定価(円) |
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教科書 | ズンダール基礎化学 | S.S.Zumdahl ・D.J.DeCoste 著 大嶌 幸一郎 ・花田 禎一 訳 | 東京化学同人 | 3,740円 |
参考書 | (なし) |