英文名 | Agromedicine | |
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科目概要 | 2025年度 後期/1単位 | |
授業対象 | 指定なし 火2 《履修推奨科目》 | |
科目責任者 | 向井 孝夫 | |
担当者 | 向井 孝夫/堤 明純※/齋藤 有紀子/吉永 龍起/伊藤 道彦/清 和成※/柿野 亘/小林 義典※/饗庭 尚子※/学事企画部 | |
備考 | 科目ナンバリング:L101-IS03/授業形態:講義 |
農医連携ってなんだろう?という疑問を持つ学生諸君も多いだろう。本学がすすめる農医連携は農を「食・環境・多様な生命」、「医」を「人の健康の維持・増進」と捉え、両者が互いに理解しあい密接に結びつくことで、持続可能な健康長寿社会の土台をつくることを目指している。本講義では、生命科学を基軸に学ぶ本学の学生が、持続可能な健康長寿社会をつくるために食や環境と心身の健康のつながりを理解することがいかに重要であるかを学び、現代社会あるいは将来起こり得る問題を幅広い視点で理解する。また、グループワーク、ディスカッションや発表を通して自分の意見を論理的に話す基礎能力を身につけることを最終目的とする。
人の健康とは何かを解説した上で、健康に及ぼす正と負の影響に関する食や環境問題の現状を紹介する。また、学生諸君においても、身近な健康問題と食や環境とのつながりを自発的に調べてもらい、問題解決への道筋を議論し考えてもらう。なお、本講義は、種々の専門を持つ教員が担当することで、学生諸君は自身の専門外に目を向け、幅広い柔軟な考えを身に着けることができるようになることを期待する。
【この授業は全て対面で実施します】
複数教員によるオムニバス方式の講義を実施する。また、あらかじめ提示された課題に対するレポートを提出する。最終講義日に課題についてグループワークを通して個人の意見を提示するとともに一つの意見に集約し、プレゼンテーションを行う。
【フィードバックの方法】グループごとにまとめられた発表に対して、複数の教員によるフィードバックをリアルタイムで行う。
【授業時間外に必要な学習の時間:25時間】
予習:ガイダンス時に紹介する授業内容に関連した文献を読んでおくこと。
復習:授業中に取り上げた資料や文献を読み直すこと。
回 | 担当者 | 項目 | 内容 |
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1 | 向井 孝夫 | いまなぜ農医連携か? ~北里大学発 農医連携(概説)~ | 北里大学で農医連携を推進する意義を理解する。 |
2 | 堤 明純 | 健康とは? ~医学からみた農医連携~ | 健康とは何かを理解するとともに、疾病を予防し、健康な状態で生命を延伸し、身体的・精神的機能の増進をはかるために、食に関わる健康リスクと予防について視野を広げる。 |
3 | 吉永 龍起 | 海洋生物の多様性と健康とのつながり | 陸上の動植物と比べ、海洋生物は天然資源が多く利用されている。一方、海洋の生物資源は大変動する特性を持ち、また人間活動による影響も生じている。食料としてのみならず医薬品の開発にも重要な海洋生物の多様性を理解し、持続的に利用する方法について考える。 |
4 | 伊藤 道彦 | 陸生生物の多様性と健康とのつながり | 地球上には200万種ほどの生物種が存在すると考えられている。生命進化と生物多様性について、環境とゲノム進化という観点から概説する。さらに、生物の多様性・食・環境・疾病とのつながりを進化学的観点から考える。 |
5 | 清 和成 | 環境汚染と私たちの健康 | 人類は産業革命以後、物質的な豊かさの恩恵には恵まれたが、一方では有害物質の的確な管理や制御ができず、環境汚染や職業性暴露から多くの被害者を発生させてきた。また、開発途上国では、今なお基本的な衛生問題に直面している。現在の環境問題や衛生問題を、世界を見渡して解説・議論する。 |
6 | 柿野 亘 | SDG'sと持続可能な水田稲作農法 | SDG'sにおける目指すべきゴールのひとつである陸上生態系の保護・回復および持続可能な利用の推進に大きく影響を与える稲作農法を紹介し、今後の生態系保全と私たちの健康にも関わる稲作のあり方について考える。 |
7 | 堤 明純 | 医学からみた食の安全・安心 | 公衆衛生学的な視点から、食品の安全・衛生と食行動を材料に、健康障害の予防について考える。食品中の化学物質、微生物が健康に及ぼす影響及び評価について理解し、リスク回避のために生産、加工・流通、消費に渡って取るべき行動について考える。 |
8 | 小林 義典 | 食と医薬、生活習慣と健康 ~東洋医学の視点から~ | 「健康長寿」は、現代人が実現すべき大きな目標の1つである。古来、人類は「不老長生」を夢とし、それを実現するために、様々な考察や試みが行われてきた。本講義では、「健康長寿」を実現するためのツールとしての食と医薬、生活習慣の改善について講義し、東洋医学の視点から考察する。 |
9 | 向井 孝夫 饗庭 尚子 | 農医連携による新しい試み ~動物介在療法の実践的取組~ | 北里大学メディカルセンターで実践している動物介在療法を紹介するとともに、その意義について理解する。 |
10 | 向井 孝夫 齋藤 有紀子 | 総合討論 | 21世紀における農医連携のあるべき姿を考える。そのために、学生の意見をとりまとめ、討論・発表する場を設置する。履修者数によってグループ分けし、数回に分けて行う。 【注意事項】 この講義は全10回です。10回目の最終講義は、履修者数によりグループ分けし、グループ毎に講義日が異なります(曜日・時限は変更なし)。 グループ及び10回目の講義日については後日掲示にてお知らせします。 |
21世紀には農医連携の科学が不可⽋であるとの理解ができる。農と医の歴史的背景が理解できる。
試験方法:なし 実施時期:
評価はレポート60%(各講義のまとめ60% 課題に対するまとめ40%)と最後の講義時間に課すグループワークによる発表40%により評価する。
専門分野の境界を超えて、課題を解決する力をつけることが大切であることを伝えたいと思います。分野を超えた北里ならではの考え方が「農医連携」です。ぜひ受講して下さい。
1)地域における食生活を含めた予防活動および食中毒に関する治療経験から食と健康とのつながりを解説する(堤)。2)JICA専門家として派遣された、タイ、ネパールでの環境問題、衛生問題に関する教育と調査、研究の経験を踏まえ、開発途上国の環境問題、衛生問題の実際について概説する(清)。3)民間企業研究所における機能性素材(食品を含む)の開発や薬剤師および太極拳指導員としての東洋医学の実践の経験を踏まえて、生活習慣の予防について、東洋医学の視点から考察する(小林)。4)病院での臨床経験を踏まえ、動物介在療法の意義及び実際の動物介在療法がどのように展開されるのかを概説する(饗庭)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 定価(円) |
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教科書 | (なし) | |||
参考書 | 北里大学農医連携学術叢書第1号~第8号 | 陽 捷行 | 養賢堂 |