Web Syllabus(講義概要)
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経済のしくみB
英文名Economics B
科目概要2025年度 後期/2単位
授業対象指定なし 水1or水2or木1or木2
科目責任者赤澤 とし子
担当者赤澤 とし子
備考科目ナンバリング:L101-HS06/授業形態:講義

授業の目的

現代社会のさまざな出来事、私たちが直面するさまざまな問題を経済との関係から捉え考える―経済学的な視点からもものごとを見る眼を養う―ことを目的とする。本講義では、健康・医療の問題を取り上げる。私たちにとって自分の健康、家族の健康、「健康」は大きな関心事であり、その健康や生命に直結するのが「保健・医療」である。しかし、健康の問題は「保健・医療」だけで解決するものではなく、働き方や職場環境、居住環境、地域などさまざまな私たちを取り巻く社会経済的要因が関係してくる。健康寿命を伸ばし、誰もが必要なときに適切な医療が受けられるようにするにはどうすればよいのだろうか。日本の健康・医療の分野の問題点はどこにあって、それをどう解決していけばよいのか、超高齢社会のわが国における保健・医療のあり方を経済学の視点からも考察し、自分なりの考えを述べられるようになることを目指す。

教育内容

医療(ヘルスケア)サービスは、通常の財・サービスとは違った特性をもっており、市場メカニズムだけに任せておいたのでは問題が生じるため、そこには政府の様々な規制が存在している。医療サービスの持つ特性を踏まえ、医療制度のあり方を効率性と公平性の観点から考えていく。需要サイドと供給サイド、両者を結びつける医療サービスの供給体制や医療保険の基礎理論について学び、現代日本の医療が抱える問題点を明らかにし、その解決策を探る。これからの日本の望ましい医療のあり方を考える。

教育方法

授業は対面の講義形式で行う。
教科書は使用せず、毎回、講義資料を配付する(Google Classroomに掲載する場合もある)。また、各テーマに関連するビデオを適宜活用し、理解と議論を深める一助としたい。
ここで取り上げる健康・医療問題に関し、「今、何が問題で、その問題にどう向き合い、どのような解決策が考えられるのか」を常に問うていきたい。
質疑応答は授業内、メールにて行う。
Google Classroomを利用することもあるので、受講生は必ず登録すること。クラスコードの提示等詳細は初回のガイダンス時に説明する。
【フィードバックの方法】
提出されたリアクション・ペーパーや課題に対しては、主要な意見や特徴的な興味深い見解を紹介したり、誤解のある点にコメントするなど講評を行う。

準備学習(予習・復習)

【予習・復習や試験に備えた学習時間を含め授業時間以外に必要な学習の総時間は60時間】
予習:医療や健康問題、講義で取り上げるテーマに関連するニュース等に目を配り、問題意識を持って自ら調べてみること。
復習:講義内容をノートにまとめ、問題点や課題、対策などについて、自ら検討してみること。

授業内容(シラバス)

担当者項目内容
1赤澤 とし子
ガイダンス・イントロダクション
講義の概要説明:医療(健康)経済の全体像
講義の進め方や受講上の注意事項を説明する。
2赤澤 とし子
医療サービスの特性①
サービス一般の持つ特性から医療サービスの問題を考える。
3赤澤 とし子
医療サービスの特性②
不確実性、情報の非対称性など、医療サービスの持つ経済的特性から医療問題を考える。
4赤澤 とし子
医療サービスの特性③
外部性など医療サービスの持つ経済的特性から医療問題を考える。
5赤澤 とし子
医療保険①
保険とは?
社会保険と民間保険の相違点とは。
6赤澤 とし子
医療保険②
医療保険の基礎理論:「公的医療保険はなぜ必要なのか」、「医療保険とモラル・ハザード」について説明する。
7赤澤 とし子
医療保険③
公的医療保険の給付の範囲、混合診療問題をめぐる議論を概観する。
8赤澤 とし子
医療技術の経済評価(費用対効果評価)
医療技術の経済評価とは。日本でも医薬品や医療機器の経済評価(費用対効果評価)が導入された。経済評価が求められるようになった背景と分析・評価方法の解説。費用対効果評価の海外での活用状況を概観しながら、問題点や課題を考える。
9赤澤 とし子
医療サービスの提供体制①
外来医療の機能分化と連携:大病院外来の患者集中問題への対応
10赤澤 とし子
医療サービスの提供体制②
医療・介護提供体制の改革の2本柱である「地域包括ケアシステム」と「地域医療構想」について解説するとともに、その課題を考える。地域包括ケアシステムとは。地域包括ケアの下での医療を考える。
11赤澤 とし子
医療サービスの提供体制③

医療・介護提供体制の改革の2本柱である「地域包括ケアシステム」と「地域医療構想」について解説するとともに、その課題を考える。地域医療構想とは。その評価と今後の課題。
12赤澤 とし子
医療サービスの提供体制④
医師の偏在対策を考える。地域間、診療科目間の偏在がもたらすものは。患者への影響は。偏在是正のため対策を考察する。
13赤澤 とし子
医療サービスの提供体制⑤医師の働き方改革を考える。医師の働き方改革を進めながら医療を守るために必要なことは。医師・看護師等医療従事者の働き方、患者の医療の受け方を考察する。
14赤澤 とし子
ディスカッション
講義で扱ったテーマについて、テーマ別に議論する。
15赤澤 とし子
まとめ
講義全体のまとめ
No. 1
担当者
赤澤 とし子
項目
ガイダンス・イントロダクション
内容
講義の概要説明:医療(健康)経済の全体像
講義の進め方や受講上の注意事項を説明する。
No. 2
担当者
赤澤 とし子
項目
医療サービスの特性①
内容
サービス一般の持つ特性から医療サービスの問題を考える。
No. 3
担当者
赤澤 とし子
項目
医療サービスの特性②
内容
不確実性、情報の非対称性など、医療サービスの持つ経済的特性から医療問題を考える。
No. 4
担当者
赤澤 とし子
項目
医療サービスの特性③
内容
外部性など医療サービスの持つ経済的特性から医療問題を考える。
No. 5
担当者
赤澤 とし子
項目
医療保険①
内容
保険とは?
社会保険と民間保険の相違点とは。
No. 6
担当者
赤澤 とし子
項目
医療保険②
内容
医療保険の基礎理論:「公的医療保険はなぜ必要なのか」、「医療保険とモラル・ハザード」について説明する。
No. 7
担当者
赤澤 とし子
項目
医療保険③
内容
公的医療保険の給付の範囲、混合診療問題をめぐる議論を概観する。
No. 8
担当者
赤澤 とし子
項目
医療技術の経済評価(費用対効果評価)
内容
医療技術の経済評価とは。日本でも医薬品や医療機器の経済評価(費用対効果評価)が導入された。経済評価が求められるようになった背景と分析・評価方法の解説。費用対効果評価の海外での活用状況を概観しながら、問題点や課題を考える。
No. 9
担当者
赤澤 とし子
項目
医療サービスの提供体制①
内容
外来医療の機能分化と連携:大病院外来の患者集中問題への対応
No. 10
担当者
赤澤 とし子
項目
医療サービスの提供体制②
内容
医療・介護提供体制の改革の2本柱である「地域包括ケアシステム」と「地域医療構想」について解説するとともに、その課題を考える。地域包括ケアシステムとは。地域包括ケアの下での医療を考える。
No. 11
担当者
赤澤 とし子
項目
医療サービスの提供体制③

内容
医療・介護提供体制の改革の2本柱である「地域包括ケアシステム」と「地域医療構想」について解説するとともに、その課題を考える。地域医療構想とは。その評価と今後の課題。
No. 12
担当者
赤澤 とし子
項目
医療サービスの提供体制④
内容
医師の偏在対策を考える。地域間、診療科目間の偏在がもたらすものは。患者への影響は。偏在是正のため対策を考察する。
No. 13
担当者
赤澤 とし子
項目
医療サービスの提供体制⑤
内容
医師の働き方改革を考える。医師の働き方改革を進めながら医療を守るために必要なことは。医師・看護師等医療従事者の働き方、患者の医療の受け方を考察する。
No. 14
担当者
赤澤 とし子
項目
ディスカッション
内容
講義で扱ったテーマについて、テーマ別に議論する。
No. 15
担当者
赤澤 とし子
項目
まとめ
内容
講義全体のまとめ

到達目標

保健・医療サービスの特性を理解し、公的介入の意義や課題を説明できるようになる。取り上げた健康・医療の諸問題やその対応策について分析、自らの考えを論理的に述べることができるようになる。さまざまな社会問題、身近な社会の出来事を経済の側面(経済学的視点)からも捉え考えることができるようになる。

成績評価の方法と基準

試験方法:筆記試験 実施時期:試験期間内
各回の課題やリアクション・ペーパー(25%)と期末試験(75%)に基づき、総合的に評価する。

学生へのメッセージ(その他注意等)

新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験し、必要なときに適切な医療サービスが受けられるか、医療の問題がこれまで以上に切実な問題であることを痛感する今日この頃です。経済学の視点からのアプローチは、健康・医療問題の把握や制度のあり方を検討するのに役立つはずです。「経済学の眼」で見てみると、これまで気づかなかった保健・医療の一面が見えてくるかもしれません。
受講にあたってのより詳細な注意事項等は初回のガイダンスの際にお伝えします。
なお、授業内容・授業計画については、進捗状況などによって、多少変更する場合もあり得ますこと、ご了承ください。

教材

種別書名著者・編者発行所定価(円)
教科書教科書は使用せず、講義資料を配付する。
参考書参考書は講義の中で適宜紹介する。
教科書
署名
教科書は使用せず、講義資料を配付する。
著者・編者
発行所
定価(円)
参考書
署名
参考書は講義の中で適宜紹介する。
著者・編者
発行所
定価(円)