英文名 | Ethics B | |
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科目概要 | 2025年度 後期/2単位 | |
授業対象 | 指定なし 水1or水2 | |
科目責任者 | 池田 透 | |
担当者 | 池田 透 | |
備考 | 科目ナンバリング:L101-HC08/授業形態:講義 |
人間的な自由の拡大とその結果としての最近半世紀の科学知識と技術の爆発的な発展、特に生命と医療の分野におけるその展開に伴って、これまでの人間の生活には有り得なかったような事態が現実のものとなっており、そこから従来の我々の常識や倫理観では処理しきれず、対策や適応をせまられるような問題が次々に起こってきている。それらの問題は人間の生命に関わるだけに、すべての人の利害に関わり、また人間存在そのものの根本に触れる問題であり、たとえ暫定的なものであっても、早急な解決を必要としている。この講義ではそれらの問題のなかから現状と論点を提示し、考えてもらうことにする。
現在の倫理学の重大問題は、科学技術、そして最近の生命科学の驚異的な発展によって、私たちがこれまでまったく自明のものとみなしていた多くの「価値」「規範」がその地位を失おうとしているところにある。そこで、この授業では、生命科学と医療の分野でここ二、三十年の間に起った変動にともなって提起されてきた問題を取り上げる。すなわち「生命倫理」をテーマとする。
「B」ではそのうち「生命操作」にまつわる問題(脳死と臓器移植、人工生殖、遺伝子操作)を考察する。
【この授業は全て対面で実施します】
指定の教科書を用いての講義形式。言葉、概念だけの話で理解しにくいものについては、視聴覚教材で補う。
【フィードバックの方法】
質問の時間をとり、答える。その他に特に決まった形式はない。
【講義時間外に必要な学習の時間:60時間】
事前に教科書に目を通しておき、当日の話の要点がどこにあるのか、見通しをつけておくこと。授業の後で興味を持った対象に関連する図書や新聞記事、判例などを探し授業内容を確認する。
回 | 担当者 | 項目 | 内容 |
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1 | 池田 透 | オリエンテーション | 生命操作をめぐる生命倫理 |
2 | 池田 透 | 脳死論――生死決定の基準について | 生死決定の基準について |
3 | 池田 透 | 死と臓器移植との関係 | 脳死と臓器移植における現実問題と思想問題 |
4 | 池田 透 | 臓器移植論 | 思想的対立とその解消のために |
5 | 池田 透 | 人工生殖の現状と問題点(1) | 人工生殖についての基礎知識 |
6 | 池田 透 | 人工生殖の現状と問題点(2) | 「代理母」と家族問題 |
7 | 池田 透 | 人工生殖の現状と問題点(3) | 生殖医療のビジネス的展開 |
8 | 池田 透 | 人工生殖の現状と問題点(4) | 人工生殖の生命操作手段としての利用 |
9 | 池田 透 | 遺伝子操作論(1) | 遺伝子を知り、操作するとはどういうことか |
10 | 池田 透 | 遺伝子操作論(2) | 遺伝子操作に対する不安 |
11 | 池田 透 | 遺伝子操作論(3) | 優生学とエンハンスメント |
12 | 池田 透 | 遺伝子操作論(4) | 遺伝子操作の哲学的諸問題 |
13 | 池田 透 | 遺伝子操作論(5) | 資本主義と遺伝子操作問題との関係 |
14 | 池田 透 | まとめ(1) | 医療倫理への概観 |
15 | 池田 透 | まとめ(2) | 倫理学原論(規範倫理学)と医療倫理との関連と生命倫理の未来への展望 |
課題とされているそれぞれの問題について、学生が自分なりの主張を持てるようにする。
試験方法:筆記試験 実施時期:試験期間内
期末試験(60%)、平常点(=出席点(40%)と配分する。出席については、講義数の3分の1以上欠席したものは試験(成績)を無効とする。
生命倫理ではあるが、特に医療者の倫理を意識せず、患者になり得る人たちの目線で考えてみて下さい。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 定価(円) |
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教科書 | 『生命倫理の教科書』[第2版] 2022年 | 黒崎剛・吉川栄省編著/小島優子・竹村香織・金澤秀嗣著 | ミネルヴァ書房 | 3,000円 |
参考書 | (なし) |