英文名 | Ethics A | |
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科目概要 | 2025年度 前期/2単位 | |
授業対象 | 指定なし 水1or水2 | |
科目責任者 | 黒崎 剛 | |
担当者 | 黒崎 剛 | |
備考 | 科目ナンバリング:L101-HC07/授業形態:講義 |
人間的な自由の拡大とその結果としての最近半世紀の科学知識と技術の爆発的な発展、特に生命と医療の分野におけるその展開に伴って、これまでの人間の生活には有り得なかったような事態が現実のものとなっており、そこから従来の我々の常識や倫理観では処理しきれず、対策や適応をせまられるような問題が次々に起こってきている。それらの問題は人間の生命に関わるだけに、すべての人の利害に関わり、また人間存在そのものの根本に触れる問題であり、たとえ暫定的なものであっても、早急な解決を必要としている。この講義ではそれらの問題のなかから現状と論点を提示し、考えてもらうことにする。
現在の倫理学の重大問題は、科学技術、そして最近の生命科学の驚異的な発展によって、私たちがこれまでまったく自明のものとみなしていた多くの「価値」「規範」がその地位を失おうとしているところにある。そこで、この授業では、生命科学と医療の分野でここ二、三十年の間に起った変動にともなって提起されてきた問題を取り上げる。すなわち「生命倫理」をテーマとする。「A」ではそのうち、「自己決定権」にまつわる問題を考察する。
【この授業は全て対面で実施します】
指定の教科書を用いての講義形式。言葉、概念だけの話で理解しにくいものについては、視聴覚教材で補う。
【フィードバックの方法】
質問の時間をとり、答える。その他に特に決まった形式はない。
【講義時間外に必要な学習の時間:60時間】
事前に教科書に目を通しておき、当日の話の要点がどこにあるのか、見通しをつけておくこと。興味をもった対象については、授業の後で関連する図書や新聞記事、判例などを探し、読んでみることを勧める。
回 | 担当者 | 項目 | 内容 |
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1 | 黒崎 剛 | 第1回:オリエンテーション | 受講するか決定するための全体のガイダンス |
2 | 黒崎 剛 | 生命倫理で何が問題となっているのか | なぜいま倫理学において「生命」というテーマが論じられるのか、その理由を解説する。 |
3 | 黒崎 剛 | インフォームド・コンセントと自己決定権の思想(1)――その歴史的由来 | 「インフォームド・コンセント」という概念の歴史的由来 |
4 | 黒崎 剛 | インフォームド・コンセントと自己決定権の思想(2) | 医療倫理の新旧について |
5 | 黒崎 剛 | インフォームド・コンセントと自己決定権の思想(3) | インフォームド・コンセントとはいかなる「思想」であるか |
6 | 黒崎 剛 | インフォームド・コンセントと自己決定権の思想(4) | インフォームド・コンセント型医療の利点と問題点 |
7 | 黒崎 剛 | 安楽死・尊厳死(1) | 安楽死の定義 |
8 | 黒崎 剛 | 安楽死・尊厳死(2) | 海外の安楽死事情 |
9 | 黒崎 剛 | 安楽死・尊厳死(3) | 日本における安楽死をめぐる判例(日本の場合) |
10 | 黒崎 剛 | 安楽死・尊厳死(4) | 尊厳死の思想 |
11 | 黒崎 剛 | 人工妊娠中絶の議論(1) | 女性の自己決定論との関わりで |
12 | 黒崎 剛 | 人工妊娠中絶の議論(2) | 生命の尊厳との関係 |
13 | 黒崎 剛 | 人工妊娠中絶の議論(3) | 人工妊娠中絶の賛否両論 |
14 | 黒崎 剛 | 人工妊娠中絶の議論(4) | 中絶をめぐる対立の可能な解決法 |
15 | 黒崎 剛 | まとめ | 生命倫理における自己決定権と自由の概念 |
課題とされているそれぞれの問題について、基礎レベルの科学知識に基づいて、自分なりの主張が持てるようにする。
試験方法:筆記試験 実施時期:試験期間内
期末試験(60%)、平常点(40%)と配分する。出席については、講義数の3分の1以上欠席したものは試験(成績)を無効とする。
生命倫理ではあるが、特に医療者の倫理を意識せず、患者になり得る人たちの目線で考えてみて下さい。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 定価(円) |
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教科書 | 『生命倫理の教科書』[第2版] 2022年 | 黒崎剛・吉川栄省編著/小島優子・竹村香織・金澤秀嗣著 | ミネルヴァ書房 | 3,000円 |
参考書 | (なし) |