英文名 | Language and Culture A(German) | |
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科目概要 | 2025年度 通年/2単位 | |
授業対象 | M学部 金1 | |
科目責任者 | 田中 伸明 | |
担当者 | 田中 伸明 | |
備考 | 科目ナンバリング:L102-ME05/授業形態:演習 |
ドイツ語の運用能力を、CEFR A1*水準で身につけることを目指します。文法重視の授業となってはいますが、会話や聞き取りの練習もしっかりと行い、「四技能(読む・書く・話す・聞く)」すべてのバランスの良い習得を目指していきます。あわせて、ドイツの文化や社会、歴史についても紹介し、科学や医学への貢献、日本との関係といった視点からもドイツに関する理解を深めていきます。
* CEFR: 欧州言語共通参照枠。言語運用能力の指標として国際的に通用しており、A1は一番基礎の段階。A1, A2, B1, B2, C1, C2となるにつれ水準が上がっていく。英検でいうと3級合格がA1に相当するといわれている。
①ドイツ語文法、またドイツの文化・社会・歴史に関する基礎知識の講義
②ドイツ語音声を放送し、設問への回答やディクテーションを行わせる
③プリント教材等を用い、ペア・グループワークを通じた会話練習を行わせる
④教科書の問題への演習を課し、整序・部分・自由独作文に取り組ませる
(②・④は宿題としても実施させる)
【この授業は全て対面で実施します】
この授業は基本的に3回で教科書の1課(Lektion/Kapitel)を扱います。各課の進め方は概ね以下の通りです。
その課で習う文法事項の解説→教科書・問題集への取り組み(各自で行う文法問題演習から、ペア・グループで行う会話練習まで、多様な形で課題に取り組み「四技能」のバランスの取れた修得を目指していく)/ 語学学習の間に文化的な話題への言及→総括として、その課で学習した文法事項・新規語彙の復習
【フィードバックの方法】
各学生に指名を通じた問題への回答を促すほか、問題演習・グループワーク中に教室内を巡回し、質問や疑問点の拾い上げに努める。Google Classroomやオフィスアワー活用して授業時間外でも質問を受け付け、回答する。
【授業時間外に必要な学習の時間:30 時間】
予習:教科書に目を通しておく。
復習:学んだ文法知識を定着させるための課題(宿題)の実施。必ず発音もしながら行うこと。
回 | 担当者 | 項目 | 内容 |
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1 | 田中 伸明 | ガイダンス | 大学で学ぶということ なぜドイツ語を学ぶか 授業や試験の運営・評価方針 |
2 | 田中 伸明 | Lektion 1 | あいさつ; 自己・他己紹介 人称代名詞(1)・動詞の現在人称変化:規則動詞 W-疑問文 Ja-Nein疑問 語順(1) |
3 | 田中 伸明 | Lektion 1 | あいさつ; 自己・他己紹介 人称代名詞(1) 動詞の現在人称変化:規則動詞 W-疑問文 Ja-Nein疑問 語順(1) ドイツ文化・社会紹介① |
4 | 田中 伸明 | Lektion 1 | あいさつ; 自己・他己紹介 人称代名詞(1)・動詞の現在人称変化:規則動詞 W-疑問文 Ja-Nein疑問 語順(1) |
5 | 田中 伸明 | Lektion 2 | 自由時間の過ごし方; 年齢・住所・電話番号を伝える; 申し込み用紙を書く; 綴り・職業を言う; 自己紹介のEmailを書く; 統計を読む 人称代名詞(2) 動詞の現在人称変化:不規則動詞 gernの使い方 nichtの使い方 男性形と女性形 |
6 | 田中 伸明 | Lektion 2 | 自由時間の過ごし方; 年齢・住所・電話番号を伝える; 申し込み用紙を書く; 綴り・職業を言う; 自己紹介のEmailを書く; 統計を読む 人称代名詞(2) 動詞の現在人称変化:不規則動詞 gernの使い方 nichtの使い方 男性形と女性形 ドイツ文化・社会紹介② |
7 | 田中 伸明 | Lektion 2 | 自由時間の過ごし方; 年齢・住所・電話番号を伝える; 申し込み用紙を書く; 綴り・職業を言う; 自己紹介のEmailを書く; 統計を読む 人称代名詞(2) 動詞の現在人称変化:不規則動詞 gernの使い方 nichtの使い方 男性形と女性形 |
8 | 田中 伸明 | Lektion 3 | 時間表現を使う 日常の行動について表現する 1週間の予定を述べる 会う約束をする できること・しなければならないこと・したいことを表現する 分離動詞 語順(2) 話法の助動詞:können, müssen, möchten |
9 | 田中 伸明 | Lektion 3 | 時間表現を使う 日常の行動について表現する 1週間の予定を述べる 会う約束をする できること・しなければならないこと・したいことを表現する 分離動詞 語順(2) 話法の助動詞:können, müssen, möchten ドイツ文化・社会紹介③ |
10 | 田中 伸明 | Lektion 3 | 時間表現を使う 日常の行動について表現する 1週間の予定を述べる 会う約束をする できること・しなければならないこと・したいことを表現する 分離動詞 語順(2) 話法の助動詞:können, müssen, möchten |
11 | 田中 伸明 | Lektion 4 | 家、部屋の様子を説明する・意見を述べる 住居の広告を理解する 名詞の性と格 定冠詞・不定冠詞・否定冠詞の主格・目的格(対格) 所有冠詞の主格・目的格(対格) |
12 | 田中 伸明 | Lektion 4 | 家、部屋の様子を説明する・意見を述べる 住居の広告を理解する 名詞の性と格 定冠詞・不定冠詞・否定冠詞の主格・目的格(対格) 所有冠詞の主格・目的格(対格) ドイツ文化・社会紹介④ |
13 | 田中 伸明 | Lektion 4 | 家、部屋の様子を説明する・意見を述べる 住居の広告を理解する 名詞の性と格 定冠詞・不定冠詞・否定冠詞の主格・目的格(対格) 所有冠詞の主格・目的格(対格) |
14 | 田中 伸明 | Lektion 1 – 4(学習事項の総復習) | 前期に学習した文法・表現事項を総点検する。 ドイツ文化・社会紹介⑤ |
15 | 田中 伸明 | 前期学習項目のまとめ | 前期に学習した文法・表現の定着・到達度を小テストによって確認する。 |
16 | 田中 伸明 | 前期学習項目の振り返り | 後期の開始にあたり、前期に学習した文法・表現事項を総点検する。 |
17 | 田中 伸明 | Lektion 5 (mit *Kapitel 5) | 食習慣について話す カフェで注文する・支払う mögen 不定冠詞と定冠詞の目的格(対格) 無冠詞 名詞と三人称の人称代名詞 形容詞* |
18 | 田中 伸明 | Lektion 5 (mit *Kapitel 5) | 食習慣について話す カフェで注文する・支払う mögen 不定冠詞と定冠詞の目的格(対格) 無冠詞 名詞と三人称の人称代名詞 形容詞* ドイツ文化・社会紹介⑥ |
19 | 田中 伸明 | Lektion 5 (mit *Kapitel 5) | 食習慣について話す カフェで注文する・支払う mögen 不定冠詞と定冠詞の目的格(対格) 無冠詞 名詞と三人称の人称代名詞 形容詞* |
20 | 田中 伸明 | Lektion 6 | どこで何を買うことができるかを話す スーパーの広告を理解する 何がどこにあるかを表現する 営業時間を理解する 場所を表す前置詞 不定冠詞・定冠詞の与格 指示代名詞の主格と目的格(対格) |
21 | 田中 伸明 | Lektion 6 | どこで何を買うことができるかを話す スーパーの広告を理解する 何がどこにあるかを表現する 営業時間を理解する 場所を表す前置詞 不定冠詞・定冠詞の与格 指示代名詞の主格と目的格(対格) ドイツ文化・社会紹介⑦ |
22 | 田中 伸明 | Lektion 6 | どこで何を買うことができるかを話す スーパーの広告を理解する 何がどこにあるかを表現する 営業時間を理解する 場所を表す前置詞 不定冠詞・定冠詞の与格 指示代名詞の主格と目的格(対格) |
23 | 田中 伸明 | *Kapitel 6 | 過去の活動について話す・質問する 大学に関する会話をする 一日の出来事・学業に関するテキストを理解する 完了形 過去分詞 habenとseinの過去形 |
24 | 田中 伸明 | *Kapitel 6 | 過去の活動について話す・質問する 大学に関する会話をする 一日の出来事・学業に関するテキストを理解する 完了形 過去分詞 habenとseinの過去形 ドイツ文化・社会紹介⑧ |
25 | 田中 伸明 | *Kapitel 6 | 過去の活動について話す・質問する 大学に関する会話をする 一日の出来事・学業に関するテキストを理解する 完了形 過去分詞 habenとseinの過去形 |
26 | 田中 伸明 | Lektion 7 | 家族を紹介する 前後左右の位置関係を表現する 誕生日に招待する 招待に対する返事のEmailを書く 統計を読む(2) 所有冠詞の主格・目的格(対格)2 人称代名詞の主格と目的格(対格) 序数 |
27 | 田中 伸明 | Lektion 7 | 家族を紹介する 前後左右の位置関係を表現する 誕生日に招待する 招待に対する返事のEmailを書く 統計を読む(2) 所有冠詞の主格・目的格(対格)2 人称代名詞の主格と目的格(対格) 序数 ドイツ文化・社会紹介⑨ |
28 | 田中 伸明 | Lektion 7 | 家族を紹介する 前後左右の位置関係を表現する 誕生日に招待する 招待に対する返事のEmailを書く 統計を読む(2) 所有冠詞の主格・目的格(対格)2 人称代名詞の主格と目的格(対格) 序数 |
29 | 田中 伸明 | Lektion 1–7; *Kapitel 5 und 6(学習事項の総復習) | これまでに学習した文法・表現事項を総点検する。 ドイツ文化・社会紹介⑩ |
30 | 田中 伸明 | Lektion 1–7; *Kapitel 5 und 6(学習事項の総復習) | これまでに学習した文法・表現事項を総点検する。 |
・ドイツ語の運用能力を、四技能いずれの面においてもCEFR A1水準で身につける。具体的には:
①日常生活の場面で短く簡単なドイツ語表現が理解でき、自分でも言えるようになる。(読む・話す)
②自己紹介ができ、相手に簡単な質問をしたり、それに答えたりできる。(話す・書く・聞く)
③食事や買い物や旅行の場面で、相手がゆっくり明瞭に話してくれるなら、コミュニケーションが図れる。(話す・聞く)
・ドイツの文化や社会、また歴史の特徴や日本との相違点・共通点について正確な知識に基づいて話せるようになる。
以下の二つの方法のうちから、学生自ら選択することができる。その選択は、後期期末試験の答案用紙に記入するものとする。
①平常点40%+小テスト・期末試験60%
②小テスト・期末試験100%
*平常点は、毎回授業終わりに提出する課題シートをA, B, C の三段階で評価することによって採点し、授業への参加・貢献度を評価する(A: 十分に取り組みが見られる 100%; B: 取り組みが半分程度しか認められない 50%; C: 取り組みが半分以下しか認められない 0%)。
*小テストは、前期の学習内容を振り返る内容で、多肢選択式・記述双方を混ぜ合わせた問題とする。
*期末試験は、以下の二つの部分から構成される。
a. CEFR A1取得のために実施される資格試験 Start Deutsch A1 の形式に準拠して作成された問題(全体の75%: 読解・聞き取りは多肢選択式、作文は全文記述式)
b. 本授業を通じ学んだ文法事項の理解力を問う問題(全体の25%)
*小テストの得点は3割、期末試験の得点は7割に圧縮された上で、全体成績に反映される。
ドイツ語が医師になるために不可欠の語学であった時代は、もう終わっています。現在の国際社会において、圧倒的に優位な立場にある言語は英語です。仮に読めない言語で欲しい情報があったとしても、翻訳ツールを使えば簡単に英語や日本語に直すことが可能です。そんな時代に英語以外の別の外国語を学ぶ意味は何でしょうか。私は、その実用的な意味の一つに「成人後の言語修得の苦労を知ること」があると考えています。
現在、日本の外国人労働者の人口はどんどん増えてきています。将来医師となる皆さんが接する患者にも、日本語を流暢に操れない人がそれなりの割合で存在することになるでしょう。その時、知らない言語を0から学んだ、という事実は、確実に役に立ちます。どう言ったら伝わるか・伝わらないか、という試行錯誤を、語学学習の場では大量に実践することになるからです。言葉の障壁があることで伝えることができない・伝えることが難しい状況に置かれている相手を理解しようと試みるためには、まず自分でその困難を実体験しなければなりません。将来使わない=役に立たない、と結びつけるのではなく、未知の言語を学ぶことを通じて得られるさまざまな経験と成果に、ぜひ目を向けてみてください。
また、上記のような「実用的」な目的を考えなければ、ドイツ語を学ぶ意味、というのはそれこそ無限に存在します。本学の祖である北里柴三郎は、自身の研究成果をほとんどドイツ語で発表しています。彼が見たもの、彼の功績を理解するには、その思考の中心を形成していたドイツ語への理解が不可欠でしょう。ドイツを中心に洗練された哲学をはじめとした学問体系や音楽・美術といった芸術も、生み出された文脈の中に言語として確かにドイツ語が存在していたことがわかると、理解が大きく深まることになります。バッハ、カント、ゲーテ、モーツァルト、ベートーヴェンといった人たちは、全員がドイツ語を母語として使い、その言語の枠組みの中で生き、さまざまな文化的遺産を残したのです。その遺産に触れ真価を存分に味わおうとすれば、やはりドイツ語は必須の教養となるでしょう。過度に文法を重視せず、むしろ会話の機会も積極的に設けながら「四技能」すべての面でドイツ語の基礎を身につけてもらうクラスとすることで、実用面、また文化的な教養面でも、ドイツ語を1年学んでよかった、と思ってもらえる授業運営をしていきたいと思います。
※指定の教科書は必ず購入してください。シラバスのうち、*がついてる章・課は、参考書に示してあるSpektrum A1+から該当部分をコピーし配布します。購入の必要はありません。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 定価(円) |
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教科書 | スタート!1 ノイ コミュニケーション活動で学ぶドイツ語 Start frei! 1 Neu (ISBN 978-4-384-12312-8 C1084) | 藤原三枝子 ほか | 三修社 | 2,970円 |
教科書 | スタート!1 ノイ ワークブック コミュニケーション活動で学ぶドイツ語 Start frei! 1 Neu Arbeitsbuch (ISBN 978-4-384-12313-5 C1084) | 藤原三枝子ほか | 三修社 | 1,320 |
参考書 | Spektrum Deutsch A1+: Teilband 1: Integriertes Kurs- und Arbeitsbuch fuer Deutsch als Fremdsprache(ISBN-13: 978-3969150610) | Anne Buscha (著), Szilvia Szita (著) | Schubert Verlag GmbH & Co | |
参考書 | 必携ドイツ文法総まとめ | 白水社 |